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ABS breeders journal2018_12

Genus Sexcel TM最新の雌雄選別精液作成技術Technology雌雄選別精液とは近年、酪農生産者および肉牛生産者の需要に基づき、優良な遺伝的形質を効率的に受け継ぐための繁殖技術である人工授精や受精卵移植が世界的に盛んに実施されています。これに伴い、雌雄の産み分け技術が1990年代以降に確立され、その後2000年代以降に我が国でもその技術の普及が始まりました。この雌雄選別技術により、現場が求める性別の子牛を効率的に生産できるようになり、遺伝改良の促進と計画的な個体生産に貢献しています。従来の雌雄選別技術従来の雌雄選別技術では、フローサイトメーター法(光学的分離装置)を用いて、X染色体を持つ精子(雌)とY染色体を持つ精子(雄)を区別し、分離します。(図1)このフローサイトメーターによる選別方法は、X精子とY精子間のDNA含量に約3.8%という違いがあることを利用して、まず精液希釈後、蛍光色素(ヘキスト33342)で染色します。次に、圧力40~60psi以下にしたフローサイトメーターに60mphの速さで精液を通過させます。その際に精子にレーザー光を当て、その蛍光の強度でX精子とY精子を選別します(X染色体の方がY染色体に比べ大きいため、わずかに強く蛍光する)。その違いを検知した液滴荷電装置により陽あるいは陰に荷電します。その後、荷電された偏向板で、陽荷電された一方の染色体のみを含む精子、陰荷電されたもう一方の染色体のみを含む精子、そして、荷電されなかった多数の精子を含む精液や選別できなかった精子の3つをそれぞれ捕集管に振り分けます。このフローサイトメーター法を使用して作成された選別精液には、これまで数千にもおよぶ観察例があり、85%以上の確率で雌が出生しています。図1フローサイトメーター法コンピュータDAN含量精子の向き偏向板+振動子±荷電側方検出器前方検出器X精子引用:酪農大辞典P.272から抜粋廃液試料シース液レーザーY精子偏向板-新しい雌雄選別技術(Sexcel TM)フローサイトメーター法による選別技術では、高圧力や電図2Sexcel TMによる選別技術荷により精子にダメージを与えてしまうため、受胎率を低下不要な精子を分割させる要因になっていることが課題でした。この新たな選別方法であるSexcel TM(セクセルTM)では、この負荷を抑える技術となっており、電圧を排除し、低圧でのマイクロ流動による選別方法を使用しています。Sexcel TMでは、2種類の選別をする精子を分割する新しく開発されたレーザー光を使用しており、1つ目のレーレーザーレーザーザー光でX精子とY精子間のDNA含量に基づく選別を行います。(図2)さらに、2つ目のレーザー光で、不要な精子および選別不可能な精子を二分化し、死滅させます。この技術により、フローサイトメーター法での作成行程より、精子に与えるダメージが軽減されることが見込まれます。このSexcel TMによる選別方法では、作成されたストロー内に二分化された精子死滅残渣も含まれるため表1:精液死滅残渣が受胎率に与える影響従来の精子生存率を測定する際には、注意が必要です。項目授精頭数受胎率95%CIこの精子死滅残渣がストロー内に封入されていても、通常精液区66844%40%~48%授精後の受胎率に影響を与えないことが実施試験で証通常精液+死滅残渣区66644%40%~47%明されています。(表1)13