ブックタイトルHoards Dairyman 2018_07

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Hoards Dairyman 2018_07

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Hoards Dairyman 2018_07

冬作粗飼料の収穫は刈り幅を広くすることが強く勧められる。粗飼料が日光に当たる面積が広くなり、乾燥も早まるためである。牛に届いてこその品質収穫技術こそ、冬作物を高品質飼料にするための鍵である。トムキルサーフリーの農業コンサルタントで、アドバンスト・アグ・システムズLLC(ニューヨーク州キンダーフック)の研究員。冬の穀物、主に冬ライ小麦や冬ライ麦の人気が高まっている。研究の裏付けを持つ管理方法がとられた結果、ニューヨーク州での収穫量は1.5~2トンDM(1ha当たりサイレージ1.72~2.28トン)から3.25~4.25トンDM(1ha当たりキルサーサイレージ3.72~4.8トン)に増えた。品質は極めて高く、タンパク質は18~20%に達し、エネルギーレベルもコーンサイレージに肩を並べている。収穫した粗飼料については、期待が外れる例はよくある。収穫時の品質をそのまま牛の口に届ける必要がある。繰り返しテストを行い、現場での試行錯誤を経て、我々は冬作物においてこの品質を実現する方法を知った。まず、品質が最も高い時に収穫することである。従来、出穂前後の時期に収穫していた頃の年間乳量は1頭当たり5,400 kgあまりだった。現在は13,600 kgを超えており、粗飼料の品質もそれに合わせて高める必要がある。最後の葉が完全に開き切っているが穂はまだ茎の中にある、止め葉の出る時期に収穫するのが、現在は最適とされている。まだ葉が巻いていて開き切っていない段階(ステージ8)に収穫しても品質上のメリットはなく、我々の試したところでは収量も35%ほど低下した。もちろん、ステージ8直後の1週間、高温多雨が予想されるときは、高泌乳グループへの給餌に必要な量を収穫してよい。止め葉の出るタイミングは品種や播種日によって異なる。ライ麦はライ小麦より早いが、粗飼料用ライ小麦の新種はライ麦と同時期くらいで、収量も多いこともある。最適なタイミングすなわち気候帯ごとの小麦の播種日の2週間前で播種すれば、翌年の春に収穫が1週間早まる。ライ小麦の品質が低下する割合は、小麦やライ麦よりもやや低い。これらの収穫ステージに例外が生じるのは、気温(特に夜間)が4.4℃を下回ったときである。寒い夜間には、日中に光合成で生み出されたエネルギーが保存され、生理的成熟が抑制されるため、繊維消化率が維持される。したがって、このような状況下では、冬の粗飼料の収穫時の成熟度はやや高めだが、高泌乳牛に必要な品質は満たしている。乾燥に十分な広さ刈り幅を広くし、同日にヘイレージも収穫することが、粗飼料の糖分とデンプン量を最大限に高めるために不可欠である。カッターバーの幅の80%以上に刈り幅を設定すれば、粗飼料が日光にさらされる面積が広がる。刈り取り後に日光にさらされると、光合成に伴う二酸化炭素と水を利用して炭水化物の生成が進み、作物全体の水分量は60%を下回る。光合成に伴う作物のスピードは、いかなる機械を用いた乾燥よりも速い。刈り幅をカッターバーの幅の80%以上にしても、作物への悪影響はほとんどなく、特にモアの設定での刈り高が適切であれば問題はない。このような収穫方法で、35%DM以上のサイレージを収穫当日の日中にサイロ詰めしてきた実績がある。刈り幅がカッターバーの幅の80%未満だと、作物を堆肥乾燥させるのと同じである。作物を刈り取って一晩放置しておくと、糖分とデンプンの大半が奪われ、粗飼料のエネルギーが減り、クロストリジウムや酪酸が生成されるリスクが高まる。唯一の例外は夜間の気温が4.4℃を下回った場合であり、呼吸作用によるエネルギー損失が減るかあるいは止まる。我々の研究で、コンディショニングをすることは乾草作物サイレージを作る上では逆効果で茎が壊されるばかりなので、光合成で活性化した葉に作物全体から水を吸い上げる毛細管現象が妨げられることが分かった。また、タインコンディショナーについては、冬作物の葉を落としてしまい、結果として品質が低下するという深刻な問題があることも分かった。手持ちのモアで刈り幅を80%以上にできないときは、刈り取り直後にテッダーをかけて、光合成による乾燥を促すとよい。刈り幅を80%以上にしても、さらにテッダーをかける必要が生じることもある。冬作粗飼料の乾物の単位面積当たりの収量は、高収量の一番刈りアルファルファの2~3倍に達することが多い。重い作物はモアの後ろから出てきて、地面に広がるように落ちて表面しか乾燥しない。それを取って広げ、刈り取り後2時間ほど置いておけばかなり乾燥が速まる。刈り幅が広ければ、茎から葉の隅々まで乾燥する。葉は最後に乾燥するので、テッダーをかければ葉が失われることは大幅に減る。ホーズデーリィマン第378号(2018)345