ブックタイトルHoards Dairyman 2018_11

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Hoards Dairyman 2018_11

自動運転車両によって、早朝の牛乳配達の光景が、配達人なきまま復活するかもしれない。そうなれば、あらゆる乳製品メーカーがビジネスチャンスを見出し参入してくるだろう。運転はおまかせ自動運転技術は米国農業界にも間もなくやってくる。そのテクノロジーによる影響は大きい。カークサタザーンセレクト・サイアーズの大西洋中央地区マーケティング部長。青年酪農リーダー研究所の卒業生1800年代後半、ニューヨーク市(NYC)は問題を抱えていた。都市化が著しいスピードで進んだため、これ以上馬が増えると馬糞も手の施しようがなくなるというほどになり、大都市の発展を妨げかねない状況にあったのである。サタザーン解決策が必要だった。その解決策は、ヘンリー・フォードの効率的な自動車生産という形で表れた。新たに自動車が発明されたことにより、馬の排泄物はたちまち姿を消し、馬の世話を請け負う厩舎は自動車のサービスステーションというさらに望ましいビジネスに取って代わられた。ヘンリー・フォードが移動手段に革命を起こしてから100年が過ぎたが、今度はその分野を新たな発明が再び揺るがそうとしている。自動運転技術である。いくつかの都市部ではすでに自動運転はテスト段階に入っており、20 ? 30年もすれば市街地のほとんどで無人運転車が大半を占めるだろうことも想像に難くない。テクノロジーの変革には大きなチャンスが伴い、農業においても同じことが言えよう。酪農業はどのようなスタンスをとれば「ドライバー不要」社会への転換から恩恵を受けられるのだろうか。このテクノロジーを深く探ってみると、自動運転技術によって牛乳のマーケティングや消費者の手に届ける方法がどう変わるかの捉え方がいくつも見えてくる。まずは新たなアプローチからまず何よりも、これまでの自動車の概念をいったんすべてリセットすることが肝心である。確かに、登場直後の自動運転車両は、現在の自動車やトラックと見た目は同じで、それらの自動車を製造しているのは既存のメーカーなので、街中で見かけるそれらの形状も見慣れたものである。しかしやがて、自動運転車はあらゆる機能の点で変貌を遂げるだろう。今後の酪農業に最大の恩恵をもたらす自動車の姿は、ごく通常の集荷車や集乳車とは似ても似つかないかもしれない。実際、集乳車を手配しなければと案じる必要もなくなるだろう。セレクト・サイアーズ社が現在乳製品加工において特に重視しているのは加工量である。私たちの仕事は、新鮮な牛乳を一ヵ所に集め、それを加工・梱包してできた商品を市場に送り出すことである。ドライバーが不要になったことによって農場での加工部門に資金を回すことができて、そうして作った製品を消費者が喜んでプレミアム価格で買ってくれるとしたらどうだろうか。未来の冷蔵コンテナ車は、消費者宅の冷蔵庫に直接配送できるようにプログラムされ、希望する商品を希望する時間に受け取れるようになっているかもしれない。配達人なき早朝の牛乳配達である。それによって労働力を削減できた生産者は、差別化された製品への需要が最も高い消費者を見出すことに労力をつぎ込めるようになる。おそらく、思いのほか時代は先に進んでいる。消費者への直接配送が始まる時期と、自動運転車が主流になる時期には数年の差があるかもしれない。それでもなお、農場として恩恵を受けられる機会はいくらでもある。集乳車が農場のタンクから直接集めた牛乳を加工施設に運ぶのに行ったり来たりするよりも、両者の間で効率よく牛乳をやり取りできるしくみ作りに投資したほうがよいのは明らかである。自動掃除機ルンバが家の中を効率よく掃除できるようプログラムされているのと似ている。労働力の削減と、ガソリンエンジンから電気自動車への移行によって、生鮮食品の輸送における経済的メリットも生産者側に大きく移動してくる。この動きには他にも利点がある。ウォーレン・バフェットは莫大な資金を動かす著名な投資家で、市場を見通す透徹した目を持ち、総資産は数百億ドルといわれる。彼が特に大きな利益を得られたのは、自ら経営する保険会社や鉄道会社への投資によるものである。これらの2つの分野についてバフェットは、自動運転技術のせいでやがて商売が成り立たなくなるだろうとよく口にしている。鉄道事業への脅威はかなり顕著で、自動運転のトラックが鉄道輸送に取って代わる可能性は高い。ここでも経済的メリットは生産者側に傾く。保険の分野が最大の収入源というわけではないが、バフェット自身、やがてテクノロジーの進歩による破壊が起こると見ている。2017年の初めに開催されたテクノロジー系の会議でバフェットは、彼の感覚だと自動運転車の台数が全車両の10%を超えるまでにはあと10年はかかるだろうが、その予想574ホーズデーリィマン第382号(2018)