ブックタイトルHoards Dairyman 2019_02

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Hoards Dairyman 2019_02

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概要

Hoards Dairyman 2019_02

サイレージの衛生状態がなおざりにされる例があまりにも多い。店頭で食品にカビが生えていれば売り物にならないのと同じく、サイレージ品質を改善しなければ収益は増えない。粗飼料と食品の腐敗の共通点トウモロコシ、イネ科牧草またはアルファルファサイレージと、店頭の陳列棚で傷みかけた食品に共通点などないはずである。しかし、私の経験と調査によれば、多くの農場で腐った粗飼料が見られる。ジョンガウザーロック・リバー・ラボの栄養研究開発責任者で、ウィスコンシン大学マディソン校畜産学部非常勤助教店の陳列棚の奥に、カビが生えたり腐ったりした食品を見かけたことがあるだろうか。今でもはっきり覚えているが、2lの容器に入った牛乳を冷蔵庫から取り出して口をつけた途端、床に吐き出したことがある。牛乳が酸っぱくなって凝固し始ガウザーめていたのである。誰でもこんなことは記憶から消してしまいたくなるような嫌な思い出である。腐った粗飼料を食べた牛群が健康を害してしまった例をどのくらいはっきり覚えているだろうか。たとえば、腐った飼料を給与してしまい、牛の消化器官の調子が悪くなったり、腸の出血の徴候を目にした経験はあるか。思い出しただけでむかむかするかもしれないが、決して忘れはしないだろう。食品や粗飼料が腐る原因すべては良質な食品、またはサイレージが空気にさらされることから始まる。それから天然の酵母やカビ(どちらも菌類)、そして陰性細菌(クロストリジウムなど)が劣化の原因となる。食品や粗飼料を腐らせる非栄養性微生物はどこから来るのか。腐敗性微生物とそれらの胞子はどこにでもいるのだ!微生物の卵は土壌中や収穫した粗飼料に数多く存在し、サイレージの中で生きているか休眠しており、牛の消化管の中にも生存している。場合によっては、陰性微生物が細菌接種において有益な細菌の数を大きく上回ることがある。農場や地域、生育条件はそれそれ大きく異なる。店ごとに陳列棚が異なっているのと同じである。たとえば、ラグーンや家庭雑排水でかんがいしている農場、発育中のアルファルファに堆肥を散布している農場では、膨大な数のやっかいな細菌や菌類を作物に接種しているようなものである。これらの細菌と菌類をコントロールする基本的なサイロ詰め技術が2つある。酸素暴露を制限する(嫌気性環境を作る)ことと、粗飼料のpHを4~4.5未満に保つことである。このプロセスは迅速に行い、積極的な発酵環境を作らねばならない。その影響は、食品を冷凍庫(冷蔵庫とは対照的)に入れるのと似ている。細菌とカビが増殖できないからである。しかし、多くのサイロ、バッグ、バンカー、ピットでは効果的に保存されていない。サイレージは嫌気性環境で効果的に保存されておらず、短期間でpH4.5未満に下がっていない。したがって、あの牛乳の容器の中と同じようにやがて腐敗する。品質の低下発酵飼料の損失と腐敗には2つの異なる経路がある。経路1‐粗飼料は一次発酵から二次発酵にかけて腐敗し、飼料の収縮に耐える。経路2‐サイレージを取り出す際に空気に再び触れた時に、サイレージは腐敗して収縮する。経路1では、酸素がサイロから排除されていない、または粗飼料のpHが下がらない場合、一次発酵が止まった後に厄介な微生物が増殖する。この二次発酵中、クロストリジウムなどの微生物が増殖し始め、時に乳酸を分解し、サイレージのpHが高くなる。到底望ましい状態とはいえない。さらに、pHが5.0を上回ると、他の陰性微生物が増殖するようになる。これらの陰性細菌が増殖し、牛が利用できる栄養分を消費するため、飼料収縮(最大損失30%)が起こる。陰性細菌の分解の影響として、酪酸、タンパク質の分解(利用できない状態になる)のほか、数多くの非栄養因子がある。経路2では、発酵保存した粗飼料が再び空気に触れ、休眠していた酵母が糖と酸を燃料として増殖し始める。経路1と同様、酵母による酸の代謝に伴いpHが上昇する。pHが上昇すると、食品を数日間カウンターに置きっ放しにした時のように、カビなどの好気性細菌が増殖する。これも不健全な状況で、栄養分が損失する。捨てないと、活発に増殖する微生物叢が栄養価の高いTMRに接種され、ルーメンの健康を害する原因となる。興味深いがさらに厄介なのは、2つの腐敗経路の複合パターンである。酸素と空気は、サイレージを積極的に給与していない場合、良く管理されたサイレージ面でも0.9~1.5mの深さまで入り込む。この場合、経路1(嫌気性腐敗)の劣化は経路2(好気性腐敗)で再開し、酵母がかなりの勢いで増殖してサイレージ中の深さ0.9mの酸素をすべて使い、再び粗飼料中に嫌気性環境ができる。このとき、経路1と2の腐敗に関連する問題が現れる。調査の方法以下のサイレージ評価を検討し、牛のパフォーマンス向上の可能性を見出すべきである。これは飼料中の栄養分の減少を抑えたり止めたりすることができる。一般的なサイレージの指標1.カビと酵母の数?目標は粗飼料1g当たり1,000CFU未満68ホーズデーリィマン第385号(2019)