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チュニジア代表が見つけたアイデアとひらめきローラモーザーミシガン州ダンズビル在住の農業ライターチュニジアの派遣団がワールド・デーリィ・エキスポを訪れ、新たなテクノロジーに触れて興味津々の様子だった。写真左から:ムスタファ・ファームズ(チュニジア、チュニス)の管理マネージャー、エツェダイン・ベン・ムスタファ、チュニジア農民連合(チュニス)会長、アジズ・ブヘイバ、ウィスコンシン大学プラットビル校国際ビジネスリソースセンター(IBRC)教授兼執行役員、ルイス・ンゼグー。大勢の人たちがワールド・デーリィ・エキスポに足を運ぶのは、最新のテクノロジーや家畜の育種技術を見るためだが、地球の裏側からやって来たあるグループが目を向けたのは、一世紀以上にわたる米国の酪農業の発展を支えた2つの要素、すなわち専門家組織と販売を司る協同組合である。米国の酪農協同組合の組織構造とマーケティング力は、酪農業の改善と発展を目指すチュニジアの酪農業を率いる者にとって羨望の的である。エツェダイン・ベン・ムスタファ(ムスタファ・ファームズ管理マネージャー:チュニス)とアジズ・ブヘイバ(チュニジア農民連合会長)がマディソンを訪れ、ルイス・ンゼグー教授(ウィスコンシン大学プラットビル校国際ビジネスリソースセンター執行役員)と合流した。チュニジアの派遣団による今回のエキスポ訪問は、チュニジア農務省とウィスコンシン大学プラットビル校の協力関係の一環である。「両国の関係は決して短いものではありません。チュニジアとウィスコンシン州の間でも1980年代初頭からさまざまなプログラムが行われています。チュニジアのエンジニアをウィスコンシン州に派遣して研修を行った時期もあります」(ンゼグー教授)チュニジアの概観現在のチュニジアの人口は1,000万人を超え、年間の牛乳生産量は450トンほどである。チュニジアの酪農場の半数以上では、搾乳頭数が10頭未満で、100頭を超える農場は全体の20%ほどであり、ホルスタインが一般的である。エキスポを訪れた2人は、生産量と収益性を高める手立てを探りに来たのである。酪農はチュニジアをはじめとする北西アフリカ諸国において特に重視され、1980年代以降その発展に向けた努力が重点的になされている。これまでの20年で生乳の生産量が急速に伸びて、2000年までには飲用乳はすべて地元の生乳になり、輸入粉乳に取って代わった。「我が国の酪農はまだまだ発展の余地があります。米国のテクノロジーや育種技術などのノウハウを学んで収益性を高める必要があります」(ムスタファ)リーダーが必要彼らは、米国の持つ専門家組織が酪農業の成功の鍵だと考えている。チュニジアの酪農業は分裂し統一されていないため、共通の目的を果たせずにいる。「チュニジアで改善したいことは、農家と地域社会との協力関係です。酪農は農場だけで成り立つものではありません。企業や消費者や学校とも関わりがあります。ウィスコンシン州とチュニジアとで行っているプロジェクトは、単に農業の改善だけではなく、農業を発展させるチャンスを広げることを目指しています」(ムスタファ)チュニジアの派遣団がエキスポを訪れたのは2006年のウィスコンシン州訪問以来2回目である。初訪問後に帰国した彼らは数人のチュニジアの農家と酪農専門組織を設立すべく検討を始めた。農家の反応は上々で前向きな姿勢を見せた。しかし、解決すべき難問も山積みである。設備と技術が整っていないため、品質と生産力の向上が進まない。ウィスコンシン大学プラットビル校とンゼグー教授の協力を仰げば改善の可能性はあると彼らは考えている。「大学とウィスコンシン州のドイル知事の支援を得られれば、チュニジアの農業はよくなると思います。ワールド・デーリィ・エキスポに参加して、我が国にも多くの可能性があると気付きました」(ムスタファ)ブヘイバも同意見である。「エキスポでは多くのものを目にすることができ、来た甲斐がありました。まずは酪農業の先端技術です。今すぐチュニジアに持ち帰ることはできませんが、将来導入できたらと考えると大いに楽しみです。15年後か20年後には導入できればよいと思います」「誰もが友好的に迎えてくれて、私たちの話もよく聞いてくれました。我が国の状況を説明すると『先は長いですね』などとは言わずに『大丈夫ですよ』と励ましてくれました。遠路はるばるやってきたことを決して後悔させない魅力がエキスポにはあります」5