ブックタイトルhoardsdairyman2019_07

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概要

hoardsdairyman2019_07

絶えざる改善が必要である。酪農家として現在の市場で競争力を保とうとするにはそれが欠かせない。ついていけるかペンシルベニア州では乳量と牛乳の品質は改善しているが、農場数は減り、競争は激化している。チャールズE.ガードナー, D.V.M.ペンシルベニア州オレフィールド在住の経営学修士号(MBA)を持つ獣医師。運営管理、資産の移転、コミュニケーションスキル専門の酪農コンサルタント2017年、ペンシルベニア州優良酪農センターが、州内の酪農場6,570戸を対象にアンケートを行った。回答を得られたのはそのうち991戸、すなわち約14%だった。同様のアンケートが2012年と2008年にも行われた。本稿では、アンケート結果の概要とその結果に関する私の意見を記すことにする。2017年のアンケートの回答者が飼養する乳牛頭数は88,000頭で、ペンシルベニア州の牛群全体の17%である。このアンケートから得られる重要なポイントは、他の多くの情報源から得られるものと大差はない。効率的な牛乳生産を目指す飽くなき取り組みが、絶えることなく続いている。ペンシルベニア州の状況は他の州とは多少異なるようだが、その点について本稿で論じようと思う。この事実から目を背けていると、酪農場としての未来を棒に振ることになる。明るい材料体細胞数は減少している。このことは、より高品質の牛乳が市場に送り出されているということを意味するので、朗報と言える。2008年と2012年のアンケートで、回答者から得られた平均体細胞数は200,000から350,000だった。それが2017年のアンケートでは、100,000 ? 150,000に減少した。この傾向は、私が牛群の診断に出かけた時に目にする状況と一致している。体細胞数が減ることには、牛群全体の健康状態の改善や乳量増、コスト削減と相関関係がある。さらにこのアンケートからわかるのは、牛群でのカウコンフォートへの投資が進んでいるということである。新たに生まれた状況ではないが、良い傾向である。1頭当たりの乳量を改善するのに特に良い方法として、カウコンフォートを高めることが挙げられる。これらの3度のアンケートでも、投資を行った分野としてカウコンフォートを挙げた人が最も多く、今後もその傾向は続くと思われる。酪農業に対する消費者の目が厳しくなる中、カウコンフォートは何より重視すべき点である。データを見ると、たしかに大規模農場の方が業績は良いが、農場規模いかんを問わず改善の余地はまだまだ多い。飼養頭数30? 100頭の小規模農場が回答者の大半を占め、全体の約70%がこのカテゴリーに属していた。小規模農場の平均飼養頭数は58頭で、100頭以上の牛群の平均頭数は234頭だった。小規模農場の年間牛乳生産量は平均8,837 kgで、大規模農場の平均は9,146 kgだった。私としては、いずれも少なすぎるように思う。有能なマネージャーのいる農場ならば、牛群の規模を問わず、あと2,200 ? 2,300 kgくらいは生産量があるのが普通である。このアンケート結果に示された程度の乳量だと、現代の酪農業界では勝負にならないのではないだろうか。我々獣医師が、農場の乳量を増やしたほうがいいという話をすると、大概こういう批判の声が返ってくる。「すでに牛乳が有り余って困っているというのに、これ以上増やせというのか」酪農業全体にとっての問題(牛乳が余っていること)と、個々の農場が安心して経営を続けていけるようにするためのベストの方法とは分けて考えるべきである。個々の農場の現状はどうあれ、米国中の酪農場では絶えずさらなる効率化を目指している。つまり、同じ乳量を得るのに注ぎ込むものをできるだけ抑えるか、さらに言えば、注ぎ込むものを同じにしてさらに乳量を得られるようにするかのいずれかである。この流れに乗れなければ、さらに厳しい状況が続かざるを得ないだろう。出荷量が1頭当たり10,000 kgを切っている農場はすでに上位の農場から大きく遅れを取り始めている。人口動態が問題に拍車ペンシルベニア州では、小規模農場ほど若年層のオーナーが多い。アンケートのデータで特に驚きだったのは、飼養頭数30 ? 100頭規模の農場オーナーの平均年齢が45歳で、大規模農場では平均75歳だったことである。この30年の差をどう説明するべきか。ペンシルベニア州の酪農家にはメノナイト派とアーミッシュ派の教徒が大勢いる。私の経験では、彼らの牛群は小規模である傾向があり、まだ若いうちに農場を次世代に譲り渡すケースが多い。実に良い慣習だと思う。大規模農場のオーナーの平均年齢が75歳だということは何を意味するか。私は、現在のオーナーが亡くなればそれとともに農場の経営もそこで終わりということではないかと危惧している。アンケートの結果全体を観ると、現時点で農場継承の計画を立てていると答えた回答者はわずか13%しかいなかった。オーナーが45歳ならまだ心配はないかもしれないが、75歳となれば問題は深刻である。自分の農場を将来に渡って存続させることを望むのならば、継承の計画が必要である。アンケートの結果からはさらに、牛を売却してしまった農場もあることもわかった。回答した991戸の酪農場のうち、112戸は酪農業から撤退したと答えていた。売却に至る農場は、小規模で生産量も平均に達していない傾向があった。廃業の原因で最も多かったのは「引退」(農場を継ぐ人がいないため)で、その次が「収益が上がらない」だった。特筆すべきは、2017年のアンケートの全回答のうち廃業したと答えた割合は11%だっ344ホーズデーリィマン第390号(2019)