ブックタイトルhoardsdairyman_2019_11

ページ
3/3

このページは hoardsdairyman_2019_11 の電子ブックに掲載されている3ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

hoardsdairyman_2019_11

退職2週間前までの意思表示は、間に合わせのような人で穴を埋めるか、適任の人材を見つけられるかの大きな境目である。誰でもよいわけではない先日、ハズバルドという農場マネージャーが、この悪循環を断ち切った経験を話してくれた。いわく、「従業員との人間関係を良好に保つことが欠かせません。従業員がこちらの事情も大切に考えてくれるようになれば、彼らの仕事ぶりは良くなり、退職しようとするときには前もって知らせてくれるようになり、あるいは農場側で直せるところを直せれば辞めずに済むかもしれません。うちの農場はとりわけ給料が高いわけではありませんが、さほど安すぎるとも思っていません。従業員にはできるだけ手助けするようにしていますし、仕事ぶりには感謝の気持ちも示しています」善意は通じ合う従業員の採用には時間がかかる。農場では、退職しようとする従業員には前もって申し出ることを徹底させ、ふさわしい後任の従業員を探せるようにする必要がある。フィルダーストミシガン州立大学公開講座の上級指導教員農場オーナーと、従業員を採用して仕事を任せることについて話をするたびに耳にするのはこんな声である。「大概は誰だって間に合うんだよ」オーナーもマネージャーも、とにかく誰か人手がほしいと口を揃える。文字通り誰でもいいから雇うことダーストができれば、何日もあるいは何週間も続く残業の日々から解放され、従業員の抜けた穴を埋められると。ほぼ24時間体制で搾乳を行っている酪農場では、搾乳シフトからたった1人抜けるだけでシフト全体の流れが損なわれ、シフトのリーダーやマネージャー、オーナーにも影響が及ぶ。求職者が現れれば、待ってましたとばかりに雇い入れることを決めてしまう。古いことわざに、空腹の時に食べ物を買いに行くなというのがある。人手の足りない時期が長く続いているケースはまさにその状態と言える。慎重に選ぶことをしなくなり、きちんと農場に定着してくれるかどうかを気にかけることもない。こうして、事態はさらに厄介になる。いい加減な農場だと、面接や身元確認もそこそこにすぐにシフトに組み込んで、新人研修や教育もほとんどあるいはまったくせずに済ませてしまう。そういうことをすると、能力の低い人を雇ってしまったり、すぐに辞めてしまったりというリスクが高まり、ただでさえ人手不足の中、また人材探しに追われる。そして、その悪循環が続くことになってしまう。酪農場において人の入れ替わりはつきものだが、離職率は低く保つべきである。つまり、十分に厳選して良い人材を長く雇えるようにすることである。とはいえ、雇い入れる側としては常にある程度の人の入れ替わりには対処しなければならない。この悪循環から抜け出す方法はあるだろうか。従業員との関係を良好に保ち、各自を尊重し、十分な給与で報いたことによって、従業員が退職を希望するときには2週間前までに前もって申し出るようになった。この2週間の余裕こそ、多くの農場にとって必要である。従業員が2週間前に退職の希望を申し出ることは、前もってその意思を知らせることによって、雇用主の立場を尊重していることにほかならない。必ずしもふさわしい後任が見つかるとは限らないが、2週間前に知らせてもらえれば、余裕を持って人材探しをすることができる。また、ロイというマネージャーはこう言った。「人探しはいざとなって慌てて始めることが多かったので、間に合わせのような人しか確保できませんでした。今はできるだけ後手後手に回らないように心がけています」方針を明確に示す従業員が、退職希望の2週間前に申し出るようにするにはどうすればよいだろうか。採用時からその方針を知らせておくことである。面接では、良きチームとして仕事が回るかどうかはお互いの協力関係にかかっていることを強調しておくこと。誰か1人でも欠ければチームとしてうまく機能することができず、残された者にかかる負担は大きくなる。仕事仲間はもちろん、職場を大切に考えて欲しいということを伝えておくとよい。また、雇い入れようとする人が現職に就業中の場合、その雇用先に対して2週間前に退職の意思を知らせるよう伝えておくこと。採570ホーズデーリィマン第394号(2019)