ブックタイトルhoardsdairyman_2020_03

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概要

hoardsdairyman_2020_03

一般にオーガニック酪農では、従来型の放牧・飼養システムと同様の利益を上げることが可能である。研究の対象となった農場のうち低収益のグループでも、収益は決して悪くなかった。オーガニック型生産の収益性酪農業全体が厳しい時期にも、中西部と北東部のオーガニック酪農場はいくつもの点で収益性の高さを示した。ラリートラネルアイオワ州立大学公開講座で州北東部と南東部を担当する酪農場指導員2015年に、オーガニック酪農が収益性の高い牛乳の生産方法であることが証明された。アイオワ州立大学とオーガニックバレー協同組合の共同研究で44戸の農場を分析したところ、それらの農場は次トラネルの4つのグループに分けることができた。1.牧草限定給餌市場に出荷していない農場41戸2.平均して高収益の農場20戸3.平均して低収益の農場21戸4.牧草限定給餌市場に出荷する農場3戸分析対象のオーガニック型農場のうち41戸(牧草限定給餌市場に出荷する農場3戸以外)の平均飼養頭数は69頭で、耕作地の平均面積は98haだった。これらの農場の生産者乳価は100ポンド(約45 kg )当たり平均36.16ドル、総生産コストは31.46ドル、純利益は100ポンド当たり4.71ドルだった。平均的なオーガニック型酪農場は、従業員のない家族経営で1時間の労働に対して25.09ドルを売り上げ、資産利益率は8.7%である。年間平均牛乳生産量は牛1頭当たり6,622 kg。高収益と低収益のいずれの農場でも生産量はほぼ同じだった。1人当たり生産量が多い高収益の農場では搾乳頭数が78頭、耕作面積は103haだった。生産者乳価の平均は100ポンド当たり36.30ドル、総生産コストは29.29ドルで、純利益は7.01ドルである。1時間の労働に対する売上げは平均32.45ドルで、資産利益率は11.5%である。1頭当たりの乳量はほぼ同じだったが、労働に対する売上げ(フルタイム換算)は、低収益グループよりも15%多かった。耕作地の単位面積当たりの純収入は高収益グループのほうが40%多く、牛1頭当たりの飼料コストもほぼ同じだったが、牛1頭当たりの収穫量が少ないにもかかわらず高収益であるということは、作物の生産と飼料管理のバランスをうまく取れていることをうかがわせる。高収益グループは、パーラーでのコストを抑えながら牛乳を生産し、1頭当たりの労働コストも8%低かった。全体的な労働効率が15 ? 20%高いこれらの農場では、ストール牛舎や旧型のパーラーに比べて、パーラーの設計がうまくできていると考えられる。また資本効率もよく、牛1頭当たりの資本投資が17%、固定コストは8%少なかったことも功を奏している。さらに4つの地域での収益性を調べたところ、興味深い結果が得られた。アイオワ州東部。11戸の農場を調べた結果の最大の特徴は、「穀物不使用システム」である。100ポンド当たり5ドルの割増金がつき、他のオーガニック、放牧型、従来型の牛乳生産方法と比較して収益性が高い。もう1つ特筆すべき点は、このデータでは1頭当たりの収益性と生産量に反比例の関係があることである。その最大の根拠は、牛1頭当たりの乳量がわずか3,809 kgしかない3戸の「穀物不使用」の酪農場が、高収益のグループに入ったことである。FTE(フルタイム従業員)1人当たりの牛乳の販売量(労働生産性)が反比例の関係にあるのも同様の理由からである。調査の結果、アイオワ州の平均的なオーガニック酪農場では、人件費のかからない労働1時間当たり23.55ドルの売上げがあり、生産者乳価は36.80ドル、100ポンド当たりのコストは32.13ドル、2015年の資本利益率は7.34%だった。ウィスコンシン州南西部とイリノイ州北西部。高収益/低収益グループの牛1頭当たりの飼料コストはほぼ同じだった。しかし、低収益グループは牛1頭当たりの農地面積が広く、農地の質が低く、農地から得られる収益も少なく、作物管理が不十分であることから、作物生産効率が質・量ともに20%低かったことも納得がいく。牛1頭当たり牛乳生産量にほとんど差はなかった。高収益グループは、労働効率が際立って優れていた。低収益グループに比べて、高利益グループのFTE1人当たりの頭数は37頭(低収入グル-プは29頭)で、販売量は245,350 kg (低収入グループは194,458 kg )、牛1頭当たりの人件費は1,022ドル(低収入グループは1,153ドル)だった。ウィスコンシン州とイリノイ州での平均売上げは、人件費のかからない労働1時間当たり29.88ドルで、生産者乳価は34.56ドル、100ポンド当たりのコストが29.29ドル、資産利益率は9.67%だった。ペンシルベニア州とニューヨーク州。高収益/低利益グループの牛1頭当たりの農地面積は同程度だった。低収益グループは、牛1頭あたりの飼料コストが905ドル高く、収穫量や飼料処理効率が質・量ともに低いことがわかった。労働効率についても、高収益グループと低収益グループの間で大きな差があった。飼料費と労働効率が、収益性に大きな差の120ホーズデーリィマン第398号(2020)