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概要

BJ201909

2.0だと考えている。『この種雄牛だから良い』『この種雄牛は悪い』というものではなく、GMSではどの種雄牛から生まれてくる牛も一貫して似たような牛が揃うのだと思う。5ゲノム検査を始めたので、GMSに遺伝評価値を組み込んでもらい、さらに徹底した牛群改良を目指している。ゲノムの検査結果を見て、泌乳能力の低い牛で高泌乳を目指すよりも、泌乳能力の高い牛で高泌乳を目指す方が、配合飼料の多給等の牛への負担を減らし、長命連産に繋がると考えている。GMS、ゲノム検査の結果をもとに、牛に無理をさせず、余裕のある牛群を作れるようにしていく事が今後の目標。6 GMSは酪農経営における利益を高めるための投資と考えて信頼している。牛群の改良は一気に変わるものではなく、少しずつステップアップしていくものだと考えており、常に次のステップへの目標を立てている。また、ゲノム検査を取り入れたGMSによって従来以上に牛群改良の目標と結果が明確になると考えている。広尾町山本ファームGMS利用歴13年つなぎ牛舎・パイプライン経産牛:79頭/未経産:26頭北海道十勝管内の最南端に位置する広尾郡は豊かな自然を生かした漁業が盛んである。山本牧場は喜久男さんをはじめ従業員3名で経営される平均搾乳頭数70頭のつなぎ牛舎である。1 GMS開始は2006年12月で、今年の12月でGMSに取り組んでから13年が経とうとしている。はじめはABSの営業担当にGMSについて相談したのがきっかけだった。牧場では以前から輸入精液を利用していたが、近親交配を避けながら乳成分を改善したいと思っていた。乳量はそれなりに搾れていたために不満はなかったが、それに対する乳成分が低いと感じていた。そこでGMSを利用して牛群全体を改良しようと思い交配相談を始めることにした。当初から主観的な判断で種を決めることよりも、第三者の意見や考えを取り入れることが重要だと考えており、種雄牛のことはその業界のプロフェッショナルなAI事業体に任せてみようという考えがあったので、各牧場専属の担当者がいるGMSに決断できた。2 GMS開始初期から、乳成分を高め、収益性に優れた牛群に改良することを目標に設定していた。昨年の1月からは搾乳性の改善を求め乳頭配置に比重を置いたロボットに設定を変更した。産次を重ねても乳器が下がらず、搾乳性の良い牛群に改良されることを期待している。3乳量を維持しながら乳脂率は年間平均4.0以上を常にキープできるまでに牛群は改良された。加えて分娩介助の手間が少なくなったと実感している。分娩難易度の低い種雄牛が選ばれるよう希望しているが、GMS開始時に比べると介助が必要なほどの難産が減り、自然分娩が多くなった。加えて初産の305日補正乳量が伸びており経産牛に負けないかそれに近い乳量を出すようになった。とび抜けて乳量の出ない個体もいなくなった。管理がし易く、手間のかからない娘牛が牧場に残り、また次世代の後継牛を生産してくれる。これが、一貫性のある牛群へ改良されていくということだと考えている。4使用精液は資料等をみて自分で決めるのではなく、改良設定に合わせてGMSで選ばれた精液を使用している。思い入れのある個体や、特別だと感じる種雄牛は自分の中で作らないようにしている。現在の牛群で経産牛はジーブス、ガーマンが長命連産で活躍しており、未経産牛ではデアーが多いので自分の牧場では比較的受胎性のいい種雄牛だったと思っている。乳房をつけてからの活躍に期待している。5ゲノム検査の結果から、日頃の管理で感じていた課題に加えて個体ごとの能力が数値として可視化されたことでより正確な目標設定ができた。こういうものだから仕方ないと思っていた気質や搾乳速度、疾病への耐性が数値としてみることができたことはとても大きい。日頃の飼養管理を怠らないことを前提としてゲノム検査の結果を利用して種雄牛を選抜し、さらに経済効果の高い牛群にするためGMSを継続して利用していきたい。また、自家生産による後継牛の確保、個体販売の継続のため利用してこなかった性選別精液も活用していくことで確実に確保ができるようにしたいと思っている。2.02019年9月4